ラバン・ラージャス宣教師を独占インタビュー!

日本宣教71年感謝!

海外宣教委員 谷井涙賀

2021年7月25日(日)、この日は奇しくもラージャス先生の94歳の誕生日。一週間後の帰国を前に、御代田の先生宅にて宣教委員長の佐藤一彦師と独占インタビューをするという特別の恵みをいただきました。22歳という青春真っただ中の若さで来日された師は94歳になり、パーキンソン病の発症もあって、今は昼間も寝ている時間が増えたと伺いました。夕方4時の約束の時間に着くと、先生はリビングのソファーにゆったりと腰掛け、私たちの到着を待っておられたご様子。ラージャスビッグハグで再会を喜び合いました。

さて、この特集記事では、ラージャス宣教師の71年間の長きに渡る日本宣教を感謝しつつ、先生へのインタビューとその翌日の歓送会の恵みを回想して、特に先生が印象深く語られた御言葉に焦点を当ててみたいと思います。

滅びゆく日本の魂を愛して

「割り当ての地は定まりました。私の好む所に。実にすばらしい私へのゆずりの地です。」詩篇16:6

「実にすばらしい私へのゆずりの地です。」インタビューを開始して、まず先生の口から語られた御言葉です。日本がアメリカと戦争をしていた頃、先生にとって日本はまさに「敵国」、日本人は憎い「敵」でした。献身して神学校に入学され、将来は日本ではなく中国に行くように志が与えられ準備しておられました。しかし、GHQのマッカサ―司令官の「今日本に最も必要なのはキリストの福音である」との呼びかけを通して日本宣教を決心されました。そして、同じ頃、日本宣教への召しを確信したエバレン先生(当時19歳)と一緒に敵国であった日本に神の愛を伝えに来てくださったのです。

「しかし、わたしはあなたがたに言います。自分の敵を愛し、自分を迫害する者のために祈りなさい。」マタイ5:44

先生は、神の愛をもって日本を愛し、滅びゆく日本の魂を愛し、日本人のようになって仕えてくださったのです。

インタビューをしながら繰り返し驚かされたことがありました。それは、71年前の当時の様子をまるで昨日のことのように思い出し、お話してくださったことです。まだ整備されていないでこぼこの道をジープで走ったこと、真っ暗な山道を越えると美しい街の灯りが見えてきて感動したこと、更には清水で出会った美しい望月青年(故望月次郎師)に “Are you an American?” と英語で尋ねられたこと、望月青年と一緒にいた友人の名前は「・・・堀内君!」と出てきた時には先生の驚異的な記憶力に驚愕しました。遠い昔の記憶が、長い時を経ても先生の脳裏には昨日の事のように思い出されるのです。言葉も文化も全く異なる日本で、経験するすべてが刺激的で衝撃的な体験の連続だったからではないか、と思いました。全てが整う住み慣れた祖国、また愛する家族を離れて、戦後貧しい日本に先生が来てくださったことに改めて気付かされました。

また先生は、主が導かれ開拓した先々で美しい町、美しい人々(兄弟姉妹のこと)に出会ったとも話されていました。まさに、主が先生に与えられた「実にすばらしい私へのゆずりの地」が日本だったとの言葉を伺い、胸が震えました。ラージャス先生を日本に送って下さった主に感謝せずにはおられません。



“Jesus is my boss!”

「イエスは近づいて来て、彼らにこう言われた。『わたしには天においても地においても、すべての権威が与えられています。ですから、あなたがたは行って、あらゆる国の人々を弟子としなさい。父、子、聖霊の名において彼らにバプテスマを授け、わたしがあなたがたに命じておいた、すべてのことを守るように教えなさい。見よ。わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたとともにいます。』」マタイ28:18-20

“Jesus is my boss!” ここ数年、先生にお会いするたびに、右手の人差し指を天に向けて言われていた言葉です。「私のボス(主人)が私に行くように命じましたので、私はただ従って日本に来ました。イエス様は、天においても地においても、すべての権威が与えられています。素晴らしいことです。」先生のダイナミックな信仰、偉大なヴィジョンを掲げて宣教されるスピリットは、まさにこの御言葉から来ています。18世紀にイギリスからインドに渡ったバプテストの宣教師、ウィリアム・ケアリも次のようなことばを残しています。 “Expect great things from God; attempt great things for God.” ~神から偉大なことを期待し、神のために偉大なことを企てよ。~

また、「私は3人―私とエバレンと主―でチームになって日本に来ました。」、「私は決して独りぼっちではなかった。」とも話されました。愛する二人の妻エバレン先生、クララ先生をここ日本で先に天に送った後も、日本にとどまり続けてくださったのです。71年間という長きに渡る日本宣教は、喜びだけではなく、多くの苦労と忍耐と流した涙がありました。しかし、ラージャス先生は、「イエス様は約束の通りいつもともにいてくださった。」と自らの歩みと重ね合わせるように深くうなずきながら、確信に満ちてお証しくださいました。これから先生が米国に帰られた後も、同じ主がいつも私たちと共にいて、助け、励まし、また導いて下さることを深く覚えることができました。



9:38チャレンジ!

「そこでイエスは弟子たちに言われた。『収穫は多いが、働き手が少ない。だから、収穫の主に、ご自分の収穫のために働き手を送って下さるように祈りなさい。』」マタイ9:38

2019年夏に行われた全国聖会において、米国BBFIの宣教委員長、ジョン・カナラップ先生がマタイ福音書9書38節のおことばから、「毎日9時38分に働き手を送ってくださいと祈りましょう!」とチャレンジしてくださったことはまだ記憶に新しいことと思います。私もそれから暫くは、ケータイのアラームをその時刻に設定して祈っていましたが、最近は忙しさにかまけて祈らなくなっていました。

先生は、99%の日本人が主を知らずにいることを嘆き、涙ながらに祈っておられました。「99%の日本人がイエス様を信じることができるように」との祈りでした。先生の71年間の宣教の実として、多くの人がイエス様を信じて救われ、バプテスマを受けて教会に加えられ、そして献身して日本各地にそして世界各地に送り出されて行きました。私自身、先生の宣教の実であり、先生の働きに心から感謝する者として、9:38チャレンジを主からのものとして受け止め、祈り続けていきたいと思いを新たにしています。

信仰のバトンを受け継ぐ

「イエスは彼らに言われた。『さあ、近くにある別の町や村へ行こう。わたしはそこでも福音を伝えよう。そのために、わたしは出て来たのだから。』」マタイ1:38

先生が残して下さった信仰のバトンを受け継ぐことは、まさに福音を受けた私たち一人ひとりが出て行って福音を証しすること、また9:38チャレンジを信仰により受け止め、働き手を送ってくださいと祈り求め続けることであると確信しました。ラージャス先生は遠く離れた敵国日本に来て下さり、米国諸教会も祈り多くの犠牲を払って先生を遣わして下さいました。諸教会から献身者が起こされ、御言葉にある如く「さあ、近くにある別の町や村へ行こう。わたしはそこでも福音を伝えよう。」と日本や世界各地に献身者を送り出すことは、主の御心であり、ラージャス先生の最後の熱い祈りでもありました。今は更に主のお出でになる時が迫っています。「主よ。収穫のために働き手をお送りください。また、私をも遣わし、用いてください。」と主に祈り、信仰の応答をもって主に仕えて参りましょう!ラージャス師から受け取ったバトンを持って・・・。